2022 / 3 / 23

6人揃っての最初の打ち合わせが終わり、
Bは、彼らの資料を持って3階へ上がり、社長に見せた。

その後、1階へ戻ってくると、事務所のソファに、
ダークサイドが寝転がっていて、
窓際にはヴィヒトレイが突っ立っていた。

「まだいたのか? 何か用でもあんのか?」
とBが聞くと、

「お腹減った。夕食は?」
と、ダークサイド。

「は?」

「だーかーらー、夕食ないの? お腹減っちゃったよ~」

「ばっかやろ、ここはレストランじゃねぇーんだぞ
他のやつらはもう帰っただろ、お前らも早く帰れよ」

「きゃはは、ボクにそんな態度取る人初めてだよ、面白ーい、きゃはは、死にたいの?」

「は? そっちこそ誰に口聞いてんだよっ」
Bはそう言ってソファに詰め寄り、寝転がったダークサイドの襟を掴んで持ち上げた。
思ったよりもダークサイドの体が軽く、Bはそのことに驚いて一瞬困惑した。
「あ、わりぃ、まだ13歳だったな…」
そう言って下ろそうとすると、
ダークサイドが逆にBの首を両手で締めた。

「うぐっ、な、何す…うっ」

13歳の小さめな手ではあったが、両の親指を尖らせ、Bの喉仏に深く突き刺していた。

「ボクを子供扱いするな…」
そう言いながら、顔には嬉しそうな笑みが浮かんでいる。

Bはぎょっとしてダークサイドの体を振り払おうとしたが、
一向に離れようとしない。

やばい…とBが思った次の瞬間、
ダークサイドの体が吹き飛んでソファの下に倒れた。

Bは咳き込みながら、ヴィヒトレイがダークサイドを殴って引き剥がしてくれたのだと気付いた。

「ゲホォッ、何すんだ、このクソガキ野郎!」

「きゃはははは」
倒れたまま笑うダークサイド。

「こいつ…」
もう一度詰め寄ろうとするBを、ヴィヒトレイが制止する。
「やめておけ。チュルホロ人の王族にはこういうのが多い…。
幸いにも力を失っているようではあるが…」

Bは自分を落ち着かせるように深呼吸をすると、
そのヴィヒトレイに向かって聞く。
「で、お前は何の用なんだ? お前も腹が減ったのか? 飯くらい自分達で何とかしろよ」

「どこに住めばいい?」と、ヴィヒトレイ。
「はー? 家に帰って寝ろよ」

「帰る所がない。ここに住まわせてくれ」

「まじで言ってんのかよ」

すると、倒れて笑い続けていたダークサイドがすっと立ち上がり、
ヴィヒトレイに向かって、
「お前何? チュルホロ人のこと知った風に言いやがって、殺すよ?」
そう言うと次にBの方を向き、
「ボクも住む所がないから、ここに住むよ、きゃははは」
と言った。

Bは呆れるようにため息をついた。
「…たりぃ過ぎんだろ…」


Bは、社長を説得できる自信はなかったので、
内緒で二人を、その日、事務所の1階に宿泊させた。


戻らない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!





翌朝、社長が起きる前に二人を追い出そうとBが早起きをすると、
事務所の1階から二人の姿は消えていた。


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