こちらに来て、数日。いくつかの戦いを経た後、文系の女は手持ちの本を読み返していた。
白い表紙に、透き通る装飾があしらわれたそれには、かつてのあの島での記録が残されている。脅威の記録。安寧の記録。敵の記録。友の記録。それら一つ一つを辿っていた時、気がつくと彼女の手元にはいくつかのアイテムが現れていた。
雪山で動物を狩った時の、あのカルビ肉。
茨で出来た冠。ナカさんに渡したあの冠と同じ物。
赤、橙、黄、緑、青、藍、紫。7つの色の花で織られた花束。あの殺し合いから抜け出す為の、最も大切だったもの。
文系の女はそれらを並べて、そこにそっと自分の懐に入れていたものを加えた。
島から出る船のチケット、その古びた半券。栞代わりに、なんだかんだで後生大事にしていたそれだ。
特に深い意味はない。ただ───奇縁でもあれば、そう思っただけ。
そろそろ戻る事も考えなくては。トウマくんが心配していそうだ。