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決めセリフ:約束されし戦いが始まった
死にセリフ:後は神がなんとかしてくれ
リージョン【放課後夜半部】
チーム:ST
キャラクター名:真伊勢
生い立ち:よく堕天使に間違われるが、実はグレたこともキレたことも遅刻したことも一度もない。あんまり愛情が顔に出ないタイプなので神からの信頼はそんなに厚くない中間管理職。面倒見がいいので後輩には慕われている。多分打つチャンスはないものの、一応でこぴんの構え。
JOB:天使
技1 サンタクララ  (強化) MP5 自分以外の味方1人を<約>化 (約:死亡時、1回だけHP=8で復活)
技2 サンタクララ  (強化) MP5 自分以外の味方1人を<約>化 (約:死亡時、1回だけHP=8で復活)
技3 サンタクララ  (強化) MP5 自分以外の味方1人を<約>化 (約:死亡時、1回だけHP=8で復活)
技4 エクセプトハー (強化) 天使以外の死んだ仲間全員をHP=3で蘇生、自分は強化ステータスのほとんどを解除しHP=0 <復活不可>化
技5 ヴァハ     (魔法) MP3 命中72 範囲3
技6 でこぴん    (物理) 命中65
宝箱:空っぽ (何も入っていなかった....)
ID:518 <Phase 2> (登録:2023-12-11 / 更新:2024-01-30 02:07)
作成者:particle 《◆キャラクター確定済み 2 》
真伊勢が残した紙切れ
 
 退勤時刻を知らせる鐘の音をBGMに、真伊勢がオフィスのドアを開けると、そこには書類の雨が降っていた。

 一枚一枚丁寧に手作業で振らせているような不思議なランダム性を持って落下する紙。搔き集める部下たちはてんやわんやと煩く、あちらこちらで大混乱が起きている。フロアに居た全員から行われた残業申請に対する許可を与え、振り分け用のボックスを用意してから動けそうな天使に作業開始の指示を与え、紙の端で指を切ったと泣き喚く部下に絆創膏を与える。この間、真伊勢は自分に三回分ばかりの溜息を許した。二十分後、全てが落ち着いてから、真伊勢は役職者用の個室の中でようやくその書類の題名を読んだ。

 ――人類勇者化計画と、天使による転移割り振りについて。

 紛れもない、間違えるはずもない、れっきとした、折り紙付きの、それは神からの通達書だった。
 なんだこの仕事。聞いてないぞ。
 四回目の溜息を自分に許そうかどうか考えていたその時、次は背後から黒い羽根が降った。さすがに今日はもう、室内での雨は勘弁してほしいものだ。

 その羽根の持ち主に、真伊勢は大いに心当たりがあった。

「お久しぶりです、先輩。ちょっと機運が高まってきた頃かと思いまして」

 振り返ると、かつての後輩がそこにいた。

 真っ黒な羽根の持つ伸びやかな形状は、真伊勢自身のものとよく似ている。会わなくなってから服装の趣味に多少変化があったようだが、黒を基調としたビジネスカジュアル感は変わっていない。一つだけ、当時と比較し決定的に失われているのは頭に浮いていたあの大きな輪っかだが、逆に言えばそれ以外はほとんど変わっていないと言ってよかった。まるで間違い探しをさせられているみたいに、彼は堕天の前後でほとんど姿を変えなかった。

「相変わらず、中間管理職なんて名ばかりですね。保育士みたいな業務内容じゃないですか?」

 フロアにおけるさっきの大惨事のことを言っているのだろう。たしかに酷いものだ。ちょっとした例外を処理できず、大量に持ち込まれる相談の嵐。無駄な会議と長すぎる議事録、しょっぱい報酬と主を頂点とした精神論。後輩の堕天の理由が、こうした職場環境とは無関係だったとは思えなかった。

 とはいえ、ここで堕天使に迎合するわけにもいかない。

「天使はルーチンに強いからね、イレギュラーに弱いんだよ」
「たかだか数百枚の紙を事務所に撒けばこんな大混乱を起こせるなんて、どうかしてますよ。やっぱり堕天のほうが得策じゃないすか?」

 性懲りなく、真伊勢の勧誘に来たつもりらしい。答えなどとっくに分かりきっているだろうに。

「できないよ」
「どうして」
「宗教上の理由で」

 後輩は肩を竦めた。その揺れによって、再び羽根が舞う。

「まあ、そりゃそうか」

 彼はそう言って、個室の中に一つだけ設けられた応接用の一人掛けソファに腰を下ろした。まるで、天使としてここで働いていた当時のように、真伊勢の壁打ち役として右腕であり続けてくれた当時のように、当然のように裏切者はそこに座っていた。

「で、今回の仕事、どうするんですか? 勇者の定義も、異世界の生成も、転移の術も、どれ一つとっても問題山積みですよね?」
「勇者の定義は、決め打ちすればいい。異世界生成も前例がないわけじゃない。ただ、転移術は無理だな。天使の特性と相性が悪すぎる」
「じゃあどうするんです? また睡眠時間を削って、愛を調達して、罰を恐れながら、頑張ってみちゃうの?」

 相変わらず、極端で、傲慢で、思い切りがよくて、嫌味っぽい男だ。でもだからこそ、彼は相談役として優秀であり続けていた。
 真伊勢は笑った。

「いや――残り一つは、なんとかして頂くさ。こういう時のために、俺たちは神を信仰しているんだからね」

 そうですか、残念です。と、涼やかにそう言う後輩の微笑を見つめながら、真伊勢は内心で四回目の溜息を吐いた。
 ――お前がまだここにいてくれたら、この大惨事も、きっともう少しマシだったなあ、と思いながら。


 <了>
 
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