【形態：人型二種】


【“狂犬注意報”のウワサ】

冥界逝きが確定している生物の前に暗闇と遠吠えと共に現れ襲撃し、冥界へと送る化犬、又は化狼。
罪人が罪を重ねる前に自らの身で屠る、言わば必要悪のような存在である。
北欧神話のガルムを始祖とし作られ、派生した噂話とされている。


【コード：理解不能】

其の個体は自由を象徴していたと云う。本来ならば“有り得ない”特性である。
狂犬注意報が正義を成す側ならば、其れは罪人が罪を犯す理由の体現だろうか。
正義と悪、相反する概念を宿した其れは世界に認められない、酷く不安定な存在であったらしい。

其の個体が特性に反する行動を起こす度に、間違いを正そうと世界システムは再構築と破壊を繰り返す。
作られ、壊され、作られ、壊され、作られ、壊され、幾千もの生き死にを繰り返す。


――その結果、元の“存在”の形を見失い戻れなくなってしまった。


使命を守れない出来損ないは群れに認められず、これ以上の破壊を受け付けない身体は死ぬこともできず。
居場所も逝き場所も亡くしたそれは最早、無差別に力を揮う狂犬の形を残した“なにか”にしか成れない。

今やこの個体は、どこに居ても居なくてもいい、ゴミに等しい存在である。