■秘伝の書
今まで食べたトレンドスイーツのレビューが書かれている。
迷ったときはここに記されたお店に行けば満足間違いなし。

■忍術虎の巻
彼女が忍術を獲得するために行った訓練など書かれている。
休日は朝15km走るとか、放課後はなるべくジムに寄るとか、そういうのが。

◆動画内に出てた長い名前の技
・喜屋武蓮雷不満喫程々鎖鎌之術
→キャンパスライフ満喫ほどほど鎖鎌の術
・将来不安陀毛土甘物好物鞭之術
→将来不安だけど甘い物好物鞭の術
・十円玉似加須底羅無限乾酪之術
→十円玉似カステラ無限チーズの術

10円パンは500円くらいするらしいぞ。


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人や人に似たもの、或いは物の怪の類まで。
夢うつつの祭りに初めて喚ばれたのはもう4年も前のこと。
あの時はたしか、高校一年の冬だったと思う。


魔術と遁術。
小さい頃から、両親の持つ技術は憧れの象徴だった。
だから伝授して貰った時は夢のようだったし、修行を嫌がることもなかった。

おとぎ話の魔女のように、或いは、歴史の中の忍者のように。
超常の技術を会得することは、自分にとって誇りだった。

だけど、それらは日常生活では明るみに出てはならなかった。
どちらも神秘に属するものであったから。
魔女も忍者も、私の時代にはもう"いないもの"だったから。

押し殺すように私の中に秘められた力は、いつからか荒み、忌むものへとなっていた。
そんな私を、あの戦場は救ってくれて、そして打ちのめしてくれた。


――戦場に喚ばれた私は、戸惑い以上に喜びが勝ったことを憶えている。
この地であれば、私の力を思う存分出していいのだと。
ここは、私が私らしく在れる場所なのだと。

遠い記憶のあの冬は、今でも私の火遁よりも熱く燃えている。

そして今。

私は自身の力のルーツを探る道を選んで。
神秘の歴史を紐解くがため、勉強を続けている。
私を私たりえたもののことを、より深く知るために。

もちろん。魔女として、忍としての修行も欠かしたことはない。


いつか――再び、あの戦場が私を招いてくれたときのために。


(或る学生の回顧録より抜粋)