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決めセリフ:指先に行き場ない愛を込め
死にセリフ:薄れゆく彼の面影を乗せ…
リージョン【コミックPO】
チーム:AM
キャラクター名:デコピナーの妻
生い立ち:ダメね、私。もう会えないと知りながら彼の影を追ってしまうの。彼は言ったわ、私にはデコピナーの素質があると。そして私にでこぴんした。嬉しかった……思い出したら、また彼に近づけたかしら。もう彼を覚えてる人がいるか知らないわ。それなら私が彼の生き様を刻むの
JOB:剣士
技1 でこぴん    (物理) 命中65
技2 でこぴん    (物理) 命中65
技3 でこぴん    (物理) 命中65
技4 でこぴん    (物理) 命中65
技5 でこぴん    (物理) 命中65
技6 でこぴん    (物理) 命中65
宝箱:紫帯 (体術Dmg+4)
ID:764 <Phase 4> (登録:2023-01-07 / 更新:2024-01-08 15:21)
作成者:osakana 《◆キャラクター確定済み 4 》
デコピナーの妻が残した紙切れ



「おかえりなさーい! ごはんにする? おふろにする? それとも……」




コミックPO 超美麗絵新連載『デコピナーの妻』






第一話『デコピナーの彼』



 長い黒髪、上品なブラウスにトレンチコート、そして一際、目を引く赤いスカート。いかにも育ちの良さそうなお嬢様が、欲望渦巻く夜の歓楽街に降り立つ。私は、昼は真面目な物理学専攻の女学生、でも夜の顔はこの街で暗躍する殺し屋よ……そういう"生い立ち"で、この戦いの場に身を置いた。

 周りには似たような、あるいは全く違ったような生い立ちで、私と同じ列に並ぶ4人の味方がいる。そして対岸には5人の敵がいる、今回のターゲットはこいつらね。戦いの火蓋が下ろされると、私たち10人は各々の戦い方で各々の目的のために殺し合う。それがこの舞台、ポレン。

 そうこうしているうちに私の味方が敵を1人落としたわ。その直後に敵が味方を1人落とす。ターンの最後、私の手番が回ってきた。私は一歩、後ろに下がり構えて、次の瞬間、思いっきり助走をつけて敵陣に飛び込む。そして1人の敵の前で跳び上がって、そのまま、そいつ目がけてダイブするのーー

 どっしーん! "山落とし"炸裂! よし1人、息の根を止めたわ。その横にいた敵の男が、にやにや笑って私を見る。

「えー、君、画像では銃を持ってるのに、体術家だったの?」
「そうよ、脚元に拳銃を仕込んでるけど、体重150kgあるから大体の人間は上に乗ると殺せる、って生い立ちなの」
「へぇ、面白いな……っと、もう僕の手番だ」

 そう言うと彼は敵陣(私からすると味方だけど)に飛び込む。何も武器を持っていないことから、彼も体術使いであるようね。ただ、私のような大きな動きを彼はせず、指先を奇妙な形に曲げた後、それを私の味方の1人の頭の上に近づける。

 次の瞬間、パーンという大きな破裂音が響き、私の味方は倒れていた。彼が繰り出したのは"でこぴん"、彼は生粋のデコピナーだったの。

 その後も彼は、でこぴんを繰り出していく。私も山落としや"体当たり"で応戦する。でも気づけば、HPの高い体術家の私以外の味方は全員、倒れていたわ。敵もただ一人、あのデコピナーの彼だけ。

「あなた、細身の見た目に似合わず、意外と硬いのね」
「ああ、MPに振らなくていい分、HPが高いから」

 そんな戯言もさておき、5ターン目最後、私は彼めがけて思いっきり体当たりする。でも彼に迫る瞬間、突然、彼の姿が消える……かわされたわ!

「MPに振らなくていい分さ、速さにも振れるんだよ」

 次の瞬間、私の目の前に薄笑いを浮かべた彼と、彼の手が迫る。完敗だったわーー

 頭に鋭い衝撃が走る。パーンという高い音と共に、私は恋に落ちたの。




第二話『デコピナーの夫』



https://www.evernote.com/shard/s679/sh/8db60b10-21d7-bc9f-700e-1e32ef191f6b/dd9a66d61c6293ef3f18bd488e887070
↑ こちらから読めます。




【New!】第三話『デコピナーの素質』



[前回までのあらすじ]
 デコピナーの男と体術家の女は、恋に落ち、結婚しました。

***

 あの後、私たちは海辺に家を建てて、そこで二人で暮らしはじめたわ。それからしばらくして、今年もポレンの季節がやってきたの。

「え~! 同じリージョンで出場しないの~!?」
「やだよ、恥ずかしい」
「も~! シャイボーイなんだから~!」
「そもそも、リージョンってコンボを組んで出場するものだろ? 僕のビルドはコンボとか関係ないぞ」
「私が"挑発"で敵の攻撃を引き付けてるから、その間にでこぴんして頂戴!」
「その間に広範囲攻撃を撃つならまだしも、でこぴんは1人ずつしか倒せないから、効率が悪すぎる。それに僕はもともとHPが高いから、余計なお世話だ」
「ぐぬぬ……正論だわ……」
「それに僕は戦いの中での一期一会の出会いを楽しみにしているんだ。僕が君に出会ったようにね」
「あら、そしたら、あなたは不倫相手と出会ってしまうわ! やっぱり私とリージョンを組みましょう」
「やだよ、恥ずかしい」

 結局、私たちは無所属リージョン同士で出場することになったわ。

「それにしても、問題はビルドよね……あなたは毎年お決まりだから、悩む必要なんて無いと思うけど」
「悩んでるよ、毎年。このビルドで通用するかどうか……」
「そうは言っても、毎年、変えてないでしょう。それが潔くて好きなんだけど」
「……ありがとう。で、君は今年も体術家なの?」
「そのつもりよ。でも去年と同じ、山落とし2回、頭の体操、体当たり3回のビルドだと、意外と消費MPが多くて苦しいのよ。同じ技を連打するせいで、補正も苦しめてしまうし……だからね、どこかの技をでこぴんに置き換えようと思うの」
「おお、君もでこぴんを」
「とりあえず、体当たりのスタンの効果が薄い6ターン目をでこぴんに置き換えるでしょう、その分、浮いたMPがあるから、3ターン目の頭の体操もでこぴんに置き換えられる。補正を考えたら、山落とし体当たりを1回ずつしか撃たないのもアリな気がしたわ、2ターン目5ターン目もでこぴんに置き換える。浮いた分を命中に振れるわね。そもそも体当たりって必要かしら? でこぴんに置き換えて良いんじゃないかしら……」

 私がつらつらと思考を並べているのを、彼はにやにや笑って見ていたの。

「え? 何か可笑しいかしら?」
「いや……君にはデコピナーの素質があるなって思っただけだよ」
「え? あなたと同じ素質?」

 私は、大好きな彼と同じ素質があると言われて嬉しい気持ちになったのと、同時に、少しモヤモヤした気持ちになったわ。

「でも、私がデコピナーになったところで、でこぴんを極めたあなたには敵わないわ……あなたは、唯一無二のデコピナーよ。私は、そんな、あなたが好き」

 彼はまっすぐ私を見つめて、おでこを撫でる。そして、その手の中指を曲げ、親指を添える……私は、そっと目を閉じたわ。

 ーーぺし、という小さな音がする。とっても優しいでこぴんだった。目を開けると、彼は優しい瞳で笑っていた。そしたら、私の中で愛しさが込み上げてきたの。

「なんでかしら。あなたのでこぴんが、とっても嬉しい」
「ふふっ、へんなの」

 へんなの、とは言っていたけど、彼のでこぴんからは、確かに愛を感じたわ。徐々に消えていく額の感覚が、この時ばかりは、とても名残惜しかったの。

 結局、私は、山落としと体当たりが1回ずつ、でこぴんが2回、準備体操が2回のビルドになったわ。

 そしてポレン本戦。私は、無所属リージョンの味方の戦術が噛み合っていたこともあって、なんとか初戦を突破できたわ。運が良かったのね。

「それにしても、体術家ででこぴんって、少しぐらい命中に振っただけじゃ、全く当たらないのね。でこぴん剣士、恐れ入ったわ……」
「でも、君の山落とし、今年も決まっていたじゃないか。君の強みはそっちだよ」
「そうね。あなたも、でこぴんを、かっこよーく決めて頂戴ね! 応援してるわよ~!」

 この時は、彼の初戦があんなことになってしまうなんて、全く想像していなかったわ。

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