・ラットハウスのラトキン共がお前の住み家を蹂躙する。

　時代がかったストラトが怪奇映画のように聴く物を脅かす。ノーザンバランドよりさらに銀緯北方、アバ・ディンゴを越えスミレ色の星雲を抜けた真空地帯に位置するブラッド・ハワードの構造物、半径0.1光年のとぎれとぎれのリング、それが奴らの巣食う場所だ。ピューイピューイと鳴く声が、航宙する旅行者を狂わす。ノイジーなシアン化化合物の色、蝶の羽音ほどの1,621THz正弦波。
　泣き落としのクラビネットが言い訳のように旋律を紡ぎ、しかし主役は依然として耳に障るギター、意図的に音符を失落させられたコードが増えていき、いつしかフラットなノイズのみが残る。あの隕石は誰のものだったか。それを問うような声のみ聞こえて、端正に構築された鐘の音と共に曲は途絶える。
　ネズミを狩るのは誰だって？　ヘビだろ？