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フォルクハルト先輩。


颯爽と現れ、死に瀕した僕を悪魔共から救ってくださった救世主。

わるいひとたちを裁くその神々しいお姿。

正に、かみさまだった。

ああ、かみさまは いたのだ。



先輩に救済された僕は、先輩の御力になりたいと強く思った。
こんな非力な僕でも先輩に恩返しできたら。

先輩の何恥じないように神学校で主席に上り詰めて。
先輩の足を引っ張らないように、知識と技術を磨いて。

先輩の意に沿えるように、先輩に必要とされるように。



先輩はこんな僕が御側に居ることを認めて下さっている。


先輩の御側に居させていただけて、お役に立てることは、何にも変え難い幸福。

先輩から感謝の言葉を頂戴した日には、天にも上る思いだ。

ああ、僕の使命は、存在意義は、先輩に尽くすこと、お役に立つこと、…必要とされること。

先輩に必要とされなければ、僕は死んでいるも同然。


先輩、先輩、

僕は貴方様のお役に立てていますか。

僕は貴方様にきちんと奉仕できていますか。




先輩は紅生姜たっぷりの焼そばパンがお好きで、僕にもその美味しさを共有してくださる。

僕が怪我をしたり、調子が悪い時は心配して下さる。

こんな僕に、なんて寛大でお優しい方なのだろう。



強さ 優しさ かっこよさ ありとあらゆるものを兼ね備えた完璧な異端審問官。


先輩のような、素晴らしい御方を支えることを許された僕は 世界一の幸せ者です！


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何年前の話だろうか。



神の目として、異端者を探し、然るべき罰を与える…
それが私…異端審問官フォルクハルトの使命だ。

というのは勿論建前で、
罪人の悲痛な叫び、必死の命乞い、痛みに段々と弱っていく姿……

加虐の快感が、愉悦が、私を離さなかった。

私は私の欲を満たすために審問を行う。
……罪をでっち上げて異端審問にかける程に。



私はいつものように異端審問の対象を探していた。

町はずれの異様な雰囲気……少なくとも正教徒ではない……を醸し出している家が目に留まった。

……子供使った何らかの儀式をしている異端者の家 。

異端者、儀式の際中、子をダシとしている。
…審問にかけるのに都合のいい輩。


私はすかさずその中に乱入し、親と思われる2人を捕獲。
力で抵抗出来ない故か、ぎゃあぎゃあ喚く。生きがいい。
最高の獲物を得た。今日はいい日だと思った。

子は…まぁいいだろう。衰弱しきっていて審問のし甲斐がない。
どうせほっとけば死ぬか誰かに拾ってもらえるだろう。
子の保護は私の範疇ではない。しかも異端者の子なら尚更だ。

目的を完遂し、親を引き連れてその場を去る際、
…子供の目線が、親ではなく私に向けられていたのが気がかりだった。



暫く経って、あの時見捨てた彼が、私の前に助祭として現れた。

「先輩！」と目を輝かせて。

まるで、信ずる神が目の前に現れたかのように。



彼は、私のことを「かみさま」と信じ込んでいた。



どうして私の名前を知ったのだとか、どこで私の居場所を知ったのだとか、
そんなことはどうでもいい。

ただ、

…一介の異端審問官である私を神と信仰するのは、正直わからない。

彼にとって私は救世主であり神であると信じて疑わないのだろう。

認知を歪ませ、真実を覆い隠すくらいには。


ただ、こうした盲目の信仰心はいろいろと使える。

使えるものは、利用するだけだ。



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僕の全てを貴方に捧げます。


すべては先輩のために。

すべては先輩の意のままに。




すべては我が神の思うが儘に。







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バザー御礼絵

・クハルの焼きそばパン



・クハルの焼きそばパン便覧



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