生い立ち:緑髪の少女はひとり、すすみつづける。
金髪の少女はひとり、みまもりつづける。
会えないふたり。かがみあわせのふたり。よく似た、似ても似つかないふたり。
それはいつまでも、いつまでも、いつまでも……
(登録:2018-12-21<> / 更新:2018-12-27 01:26)
生い立ち:―お前にヒマラヤ越えは無理だ。
彼らのようなアネハヅルでもなければ純粋な鶴ですらないわたしにヒマラヤを越えられるはずがない、そう言いたいのだろう。
アネハヅルのヒマラヤ越えは困難を極める。
天敵のイヌワシに捕らえられるもの、高度6000m以上まで昇る上昇気流をつかめずに山の手前で脱落するものもいる。そんな彼らを何羽もみた。
それでも彼らは生きる為に、次世代へと繋ぐ為にヒマラヤに挑む。
わたしのような亜種が彼らと同じことをするのは彼らの気高い心が許さないのかもしれない。
彼らが両翼に覚悟と未来を乗せて草原を飛び立ったのを見届けた後、わたしはくちばしを回し、山肌に突き立てる。
確かにわたしには蚊の遺伝子が入っている。だが、わたしには鶴の遺伝子も入っているのだ。
彼らの話にきく印度に興味があったし、ヒマラヤを越えてみたい気持ちがないわけではない。
自分に出来ることをやってみればいい。私はヒマラヤにトンネルを掘ることにした。
(登録:2018-12-21<> / 更新:2019-12-23 02:13)