歩錬乃秘儀を求める旅路から時が流れ、子が大人になるほどの時が経ったころ。
猫又は呆れたように黒い渡り鳥が飛ぶ暗い空を見上げた。

「ほんまにおもろないことしかしいひんなぁ。」

そうつぶやきながらも、100年の約束を果たすため、久方ぶりに人の街を離れ歩いていく。

「土産しか残ってへんけどどないしよか。」

残った軽い荷物にため息をつく中、山中で一つの石碑を見つける。
それは誰にも必要にされず朽ちていくはずのもの。
しかし、彼女にとってはたまたま見つけた一つのおもちゃであった。

「暇つぶしのお遊びを始めよか。」

ニヤリと猫又は妖しく笑い、人の街へと踵を返した。
面白くないことを面白くするために。
残っていた旅路の土産を身に着けると、おもちゃに必要なものを獲りに向かうのであった。