(かばん):押忍丸の書き損じた恋文
(かばん):極星の聖者エルージェの恋煩い
装備枠(首):五行院金三の割れた眼鏡
装備枠(右手):[手]No99の使用済手裏剣
装備枠(左手):[手]うつろの魔力暴走風ネイル
(かばん):極星の聖者エルージェの恋煩い
装備枠(首):五行院金三の割れた眼鏡
装備枠(右手):[手]No99の使用済手裏剣
装備枠(左手):[手]うつろの魔力暴走風ネイル
チーム:ST
キャラクター名:デコピナーの妻
生い立ち:「謎のプログラムにでこぴんしに行く」そう言って彼は姿を消したわ。あれから何年、経つでしょう。彼は結局でこぴんできたかしら。彼がダメなら私がでこぴんするまで。鋭く、深く、息を止めるよう。そうする間が一番、彼を想うことができて、それは、それは幸せだったの
JOB:剣士
技1 でこぴん (物理) 命中65
技2 でこぴん (物理) 命中65
技3 でこぴん (物理) 命中65
技4 でこぴん (物理) 命中65
技5 でこぴん (物理) 命中65
技6 でこぴん (物理) 命中65
技2 でこぴん (物理) 命中65
技3 でこぴん (物理) 命中65
技4 でこぴん (物理) 命中65
技5 でこぴん (物理) 命中65
技6 でこぴん (物理) 命中65
宝箱:魔法の盾 (1ターン目<魔転>化(レア:2回勝利時以降に発動))
ID:473 <Phase 2> (登録:2023-12-11 / 更新:2024-02-01 04:53)
デコピナーの妻が残した紙切れ
【 デコ妻㊙情報 】
実は惚れっぽい。特にイケメン。
☆☆☆
☆☆☆
連載『デコピナーの妻』2nd season
第一話『押忍丸の書き損じた恋文』
その日、私はふと思い立って、夜明け前から散歩をしていたの。私の住む町から、徐々に建物の少なくなる郊外へ、やがて建物の無い自然の中へ。知らない場所を歩くのは、ちょっとした冒険気分で心が弾むわ。
先ほどまで、大きな月明かりと煌めく星明かりが照らしていたけど、だんだん、それらも薄れてきて、空全体がほのかに明るみはじめる。そして東の方角が、紫に、赤に染まっていって、太陽の到来を告げていく。夜明けはもうすぐそこね。
そんな明け方の空の移ろいを楽しみながら、自然の中を歩いていたら、急に開けた場所に出た。そこを見渡すと……なんと一面の花畑! 私、こんな素敵な場所があったの、知らなかったわ! 感動して、つい、はしゃぎまわっちゃったの!
きゃいきゃい花畑の中で踊っていた私だけど、ふと、その中に私以外の人影があることに気づいた。こんな時間に散歩かしら? 私は気になって人影に近づいてみた。すると……上ってきた朝日に照らされて、筋骨隆々のどちゃくそイケメンが浮かび上がったの!
え、なにこのイケメン……!? たくましい体躯に儚げな表情。傷だらけの手には一輪の花が不器用に握られている。彼はその花を憂いを帯びた目で見つめて、溜息を吐いた……恋に落ちるのは一瞬だったわ。そう、一目惚れよ。
私は、勇気を出して彼に声かける。
「す、素敵な朝焼けですね……」
彼は、私の存在を認知すると、渋みのかかった低い声で答える。
「押忍…………」
お、押忍!? 予想もしなかった返答に、私はびっくりしちゃったわ! で、でも、これが彼なりの挨拶なのかもしれない。私はうろたえずに話を続ける。
「私、こんなところに、こんな花畑があるの、知らなかったわ。とっても素敵な場所ね」
「押忍」
「あなた、ここは前から知ってたの? よく、ここにいらっしゃるのかしら?」
「押忍」
「よく見たら、あなた、汗をかいてるし、身体も火照ってるようだけど、何をしていたの?」
「押忍」
「……もしかして、あなた『押忍』しか言えない?」
「押忍? 押忍押忍」
目の前の彼はうんうんと頷く。な、なるほどね~、「押忍」しか言えないか~……それを知って、私、とんでもなくキュンキュンしちゃったわ! なんて愛しいイケメンなの!
「押忍、押忍……ふふ、素敵な言葉ね。素敵なあなたにピッタリの言葉だわ」
「押忍!」
彼は嬉しそうに肯定すると、額の汗を拭う。そこで彼はハッとして私を見つめる。そして、花を握っていない手で自分を指さすと、走ったりバーベルを持ち上げたりするジェスチャーをしてみせて、最後にはまた額の汗を拭うジェスチャーをしてみせる。
「ああ、なるほどね! あなたは早朝のトレーニングをしていたのね! だから身体が火照っているのね、よく分かったわ~!」
「押忍!」
私は、彼と意思疎通ができて、とっても嬉しい気持ちになったわ。それと同時に胸がときめいてドキドキしちゃった!
「それにしても、あなた、鍛えることにストイックなのね。押忍って真っ直ぐな言葉が、本当に良く似合っているわ……ますます好きになっちゃう」
「押忍?」
「あ、いえいえ、こっちの話よ。気にしないで頂戴な」
「押忍……?」
私は、彼と同じく火照ろうとしている身体を、必死で悟られないようにしながら、自然な(あくまでも自然な)成り行きで、こう提案するの。
「そ、そうだ! あなた、トレーニング後で疲れてるでしょうし……あ、あの! 良かったら、この後、喫茶店で一緒にモーニングでもいかがかしら?」
「押忍……押忍!」
彼は勢いよく返事すると、またハッとした顔をして、今度は首をぶんぶん横に振る。両手をぶんぶん横に振るジェスチャーも付け加えている。これは……残念だけど、否定の意と受け取って間違いなさそうね。
「そう……あなた、この後、予定でもあるのかしら?」
「押忍」
彼は、そう返事をすると、また走ったりバーベルを持ち上げたりするジェスチャーをしてみせる……そうなのね、まったく、馬鹿な人。私は思わず、ふふっと笑っちゃったわ。
「あなた、本当にストイックなのね。良いでしょう、またトレーニングに、いってらっしゃいな。でも、くれぐれも無理はしないで頂戴ね」
「押忍!」
そう言って、彼は私に背を向けて、勢いよく花畑から駆け出して行ったの。だけど……気のせいじゃなかったら、彼は一輪の花を握りしめて、小さく「姫乃ちゃん」と呟いたような気がしたわ。私には、それが不可解だった。
私はふと、彼のいた場所を見たの。そこには小さな、白い手紙が落ちていた。これは……彼が落としたのかしら? 私は手紙を拾い上げ、土を払う。そして何気なく手紙の封を開け、中の便せんを読む。一番上には「姫乃ちゃんへ」という宛先が書かれていた。
それは、恋文だった。なんとも真っ直ぐな、この上なく真っ直ぐな恋文だった。私にとっては昔すぎて、とっくに捨ててしまった気持ちが、その恋文には溢れていた。なんて青く、なんて鮮やかで、なんて美しい……それでもって、なんて痛々しい気持ちなんだろう。
私の頬に涙が伝った。その涙は、やがては雨になり、川になる。私は泣いた。ぼろぼろ泣いたわ。この姫乃ちゃんは、どれだけ彼に愛されているのだろう。その愛は、どうして私に向けられたものでは無いのだろう。限りなく純粋な愛を見せつけられて、私の感情はぐちゃぐちゃよ。
「さよなら、押忍丸。姫乃ちゃんと幸せにね」
こうして私の短い恋は終わったの。
第二話『極星の聖者エルージェの恋煩い』
↓ こちらからお読みください! ↓
https://note.com/below_292k/n/n1d1bbc013807
第九十九話『No99の使用済手裏剣』
↓ こちらからお読みください! ↓
https://note.com/below_292k/n/n8034ba4cabe5
第U26話『うつろの魔力暴走風ネイル』
↓ こちらからお読みください! ↓
https://note.com/below_292k/n/nacf00a234671
第三話『五行院金三の割れた眼鏡』
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最終話『デコピナーの妻の愛はいかがですか』
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https://note.com/below_292k/n/n4b8999cf4732
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実は惚れっぽい。特にイケメン。
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連載『デコピナーの妻』2nd season
第一話『押忍丸の書き損じた恋文』
その日、私はふと思い立って、夜明け前から散歩をしていたの。私の住む町から、徐々に建物の少なくなる郊外へ、やがて建物の無い自然の中へ。知らない場所を歩くのは、ちょっとした冒険気分で心が弾むわ。
先ほどまで、大きな月明かりと煌めく星明かりが照らしていたけど、だんだん、それらも薄れてきて、空全体がほのかに明るみはじめる。そして東の方角が、紫に、赤に染まっていって、太陽の到来を告げていく。夜明けはもうすぐそこね。
そんな明け方の空の移ろいを楽しみながら、自然の中を歩いていたら、急に開けた場所に出た。そこを見渡すと……なんと一面の花畑! 私、こんな素敵な場所があったの、知らなかったわ! 感動して、つい、はしゃぎまわっちゃったの!
きゃいきゃい花畑の中で踊っていた私だけど、ふと、その中に私以外の人影があることに気づいた。こんな時間に散歩かしら? 私は気になって人影に近づいてみた。すると……上ってきた朝日に照らされて、筋骨隆々のどちゃくそイケメンが浮かび上がったの!
え、なにこのイケメン……!? たくましい体躯に儚げな表情。傷だらけの手には一輪の花が不器用に握られている。彼はその花を憂いを帯びた目で見つめて、溜息を吐いた……恋に落ちるのは一瞬だったわ。そう、一目惚れよ。
私は、勇気を出して彼に声かける。
「す、素敵な朝焼けですね……」
彼は、私の存在を認知すると、渋みのかかった低い声で答える。
「押忍…………」
お、押忍!? 予想もしなかった返答に、私はびっくりしちゃったわ! で、でも、これが彼なりの挨拶なのかもしれない。私はうろたえずに話を続ける。
「私、こんなところに、こんな花畑があるの、知らなかったわ。とっても素敵な場所ね」
「押忍」
「あなた、ここは前から知ってたの? よく、ここにいらっしゃるのかしら?」
「押忍」
「よく見たら、あなた、汗をかいてるし、身体も火照ってるようだけど、何をしていたの?」
「押忍」
「……もしかして、あなた『押忍』しか言えない?」
「押忍? 押忍押忍」
目の前の彼はうんうんと頷く。な、なるほどね~、「押忍」しか言えないか~……それを知って、私、とんでもなくキュンキュンしちゃったわ! なんて愛しいイケメンなの!
「押忍、押忍……ふふ、素敵な言葉ね。素敵なあなたにピッタリの言葉だわ」
「押忍!」
彼は嬉しそうに肯定すると、額の汗を拭う。そこで彼はハッとして私を見つめる。そして、花を握っていない手で自分を指さすと、走ったりバーベルを持ち上げたりするジェスチャーをしてみせて、最後にはまた額の汗を拭うジェスチャーをしてみせる。
「ああ、なるほどね! あなたは早朝のトレーニングをしていたのね! だから身体が火照っているのね、よく分かったわ~!」
「押忍!」
私は、彼と意思疎通ができて、とっても嬉しい気持ちになったわ。それと同時に胸がときめいてドキドキしちゃった!
「それにしても、あなた、鍛えることにストイックなのね。押忍って真っ直ぐな言葉が、本当に良く似合っているわ……ますます好きになっちゃう」
「押忍?」
「あ、いえいえ、こっちの話よ。気にしないで頂戴な」
「押忍……?」
私は、彼と同じく火照ろうとしている身体を、必死で悟られないようにしながら、自然な(あくまでも自然な)成り行きで、こう提案するの。
「そ、そうだ! あなた、トレーニング後で疲れてるでしょうし……あ、あの! 良かったら、この後、喫茶店で一緒にモーニングでもいかがかしら?」
「押忍……押忍!」
彼は勢いよく返事すると、またハッとした顔をして、今度は首をぶんぶん横に振る。両手をぶんぶん横に振るジェスチャーも付け加えている。これは……残念だけど、否定の意と受け取って間違いなさそうね。
「そう……あなた、この後、予定でもあるのかしら?」
「押忍」
彼は、そう返事をすると、また走ったりバーベルを持ち上げたりするジェスチャーをしてみせる……そうなのね、まったく、馬鹿な人。私は思わず、ふふっと笑っちゃったわ。
「あなた、本当にストイックなのね。良いでしょう、またトレーニングに、いってらっしゃいな。でも、くれぐれも無理はしないで頂戴ね」
「押忍!」
そう言って、彼は私に背を向けて、勢いよく花畑から駆け出して行ったの。だけど……気のせいじゃなかったら、彼は一輪の花を握りしめて、小さく「姫乃ちゃん」と呟いたような気がしたわ。私には、それが不可解だった。
私はふと、彼のいた場所を見たの。そこには小さな、白い手紙が落ちていた。これは……彼が落としたのかしら? 私は手紙を拾い上げ、土を払う。そして何気なく手紙の封を開け、中の便せんを読む。一番上には「姫乃ちゃんへ」という宛先が書かれていた。
それは、恋文だった。なんとも真っ直ぐな、この上なく真っ直ぐな恋文だった。私にとっては昔すぎて、とっくに捨ててしまった気持ちが、その恋文には溢れていた。なんて青く、なんて鮮やかで、なんて美しい……それでもって、なんて痛々しい気持ちなんだろう。
私の頬に涙が伝った。その涙は、やがては雨になり、川になる。私は泣いた。ぼろぼろ泣いたわ。この姫乃ちゃんは、どれだけ彼に愛されているのだろう。その愛は、どうして私に向けられたものでは無いのだろう。限りなく純粋な愛を見せつけられて、私の感情はぐちゃぐちゃよ。
「さよなら、押忍丸。姫乃ちゃんと幸せにね」
こうして私の短い恋は終わったの。
第二話『極星の聖者エルージェの恋煩い』
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第九十九話『No99の使用済手裏剣』
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第U26話『うつろの魔力暴走風ネイル』
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第三話『五行院金三の割れた眼鏡』
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最終話『デコピナーの妻の愛はいかがですか』
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