探して、探して、ようやく突き止めた時には、手遅れだった。
いや、『最初から手遅れだった』ことを確認しただけだった。

【四畳半ダイゴは、１０年前の『ぽれん』でウロボロスにより次元の果ての無窮の戦いに巻き込まれた】

そんなことでハイそうですかと諦められるほど、賢いアタマはしていない。
よし、それならタイムスリップだ。

家の二階の机の引き出しに入ろうとした。
近所の丘から何度もジャンプした。
嵐の日には左ハンドルの車に乗って雷に打たれようとした。

愚直なまでに真直ぐな行動が、『人智を超えた何か』の興味を惹いたのか。
彼女は見事過去へと遡り、『ぽれん』への参加権を得た。

「よっしゃ！これでオヤジに一発カマしてやれるってもんだ！！」

……少なくとも、その『何か』とは慈悲深い神ではないのだろう。
サチコが参加出来たのはぽれん１０、父親が行方不明になった次の年のことである。
どうにもひねくれた願いの叶え方に、悪意を感じなくもない。

「それでもワンチャン貰ったからには、一つ貸しにしといてやらァ！！」

そして娘は今、父親と同じ舞台へ立つ。



すぺしゃるさんくす

いらすと　ironymouth氏