記録しなければならない。

私が何処で誰と出会い、その場所で何が起きたのかを。


私が■■■■で手に入れたのは完璧な代物だった。

“『描いたものをなんでも実体化することができる』” 絵筆。

描き出すものの実態を深く理解しているほど、より精度の高い再現をすることが可能だという。

私はかつて『彼』と共に過ごした部屋を、ギャラリアと呼ばれたそこを忠実に再現した。

美しい家具、太陽の光が射し込むペイウィンドウ。舞う煤や埃、軋む木目の床まで、私があの部屋で覚えていないことは何ひとつなかった。

私は『彼』のことを誰よりも理解していた。

そう、確信していたのに。



………

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所持品

■ノーマンサンチェスのネクタイピン（SOLD OUT）
　他人に好意を抱かれ
　こういったものを受け取ることには慣れている。
　これをくれたのは誰だったか。
　もう覚えていない。
　
■ノーマンサンチェスのティースプーン（SOLD OUT）
　シルバーの持ち手に紋章が誂えられている
　ありふれたデザインのものだ。
　同じものが何点も食器棚に保管されている。

■ノーマンサンチェスのいつもの茶葉（SOLD OUT）
　香り高く、抽出した色も美しい。
　口にするからには上質なものを。
　当然のことだ。
　
■ノーマンサンチェスのティーポット（SOLD OUT）
　植物の意匠が施されたシルバーのアンティークデザイン。
　これで淹れた紅茶を飲む時間はかけがえのないものだ。
　なによりも、かけがえのない時間だ。

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購入品

■ロゼの金色の羽根（equiprose様）
　君はとてもいい子だ。
　従順で忠実で優秀な、私の数少ない友人。
　何故、いまはそんな表情で私を見る？
　一度絵具が落ちた水は元には戻らない。
　そうだろう？

■風見響の割れた写真立て（tukune様）
　これが誰なのか、君の身に起きたことも
　なにもかも、私にはすべてわかる。
　もう一度ゆっくり話をしようか。
　優しい君なら、
　私の野望をきっと理解してくれるはずだから。