メッセージを伝えるために宇宙へと片道切符の旅に出た二人の旅人も、
アカニナレと叫んだ刃を持って果ての寸前までやってきた黒猫も各々のやり方で見届けた。
最初黒猫から譲られた時はやる気は無かったけれど、それならば俺は俺のやり方でって思っていた。
【異説・ライカ/ボイジャー1号機】から【異説・ブレーメンの音楽隊へ】
【異説・ブレーメンの音楽隊へ】から【異説・セロ弾きのゴーシュ】へとそのバトンは手に渡った。

一人、狭い部屋に赤い光が窓から降り注ぐ。


黒猫は言った。
「あの戦争の果てにあるのは、一体何なんだろうな」

そんなの俺は興味ないよ。俺が唆られたのはあの戦争の場にある色の感情についてだ。
人々は目的を持って足掻いて、躓いて、嘆き、憤って、喜ぶ。
そこにある色はとてもじゃないけれど、混沌としていて色鮮やかだ。
俺はその感情の色を持ってして、色鮮やかに彩られる演奏を、終演-エンドロール-を俺の手で奏でるんだ。
他のメンバーがどう思ってるかどうかは知らない、どうせお互いを互いで利用するのは最初から気づいてる。
なら、俺も俺で利用するだけだ。

さぁ、準備は整えた。あとは開演を待つのみ。
紅き戯場による演奏を今かと昏き部屋の奥底で俺は待っているぞ。


何もできなかったけれど、まぁいいか。
紅き終演は無い。
ここの部屋にいる理由はもう無い。

扉を開け、夜が明けた世界に足を進める。
勿忘草が咲き誇る世界で、俺は再び次に託す音を奏でよう。







少なくとも、想いは果てに行った。